2017年11月29日

第27回 銀色から赤へ、ガボラの鮮やかさ

 東京オリンピックを見るため、昭和39(1964)年10月にはカラーTVを買っていた私の家では、『サンダーバード』(1966/NHK)も、『マグマ大使』(同/CX)も、『ウルトラマン』も第1話からカラーで見ていた。

 だから、ガボラが地中から銀色の尖った突起のような頭部で、4本足で現れた時、ものすごく新鮮なイメージであった。そして、銀色の尖った頭部がパカッと6分割して、カサのように広がって、その中が赤色に塗られているカラーリングのショックだったこと! まさにモンスター・デザインの力だ。

 ガボラの頭部は、毛が生えていない猫みたいな丸いフォルムで、両目もつぶらに開いていて、牙はあるものの、何か可愛らしいイメージであった。
 高野宏一特技監督は、ガボラが重量感のあるボディーのために、ウルトラマンとストロング派で戦うパンチングを見せていて、怪獣との肉弾バトルを堪能することができた。ベースになっているバラゴンの恐竜みたいなボディーラインが格闘シーンを支えてくれていた。

 科特隊は街の人々、少年たちをレスキューするのが任務で、怪獣を殺すのが主任務じゃない初期作品のタッチがよく出ていて、平屋の多い地方の町に出てくると、4本足の怪獣ってカッコいい、と怪獣映画の面白さを堪能できる1本だった。


2017年11月28日

第26回 パゴス再登場の予定が……

 制作第7話の「電光石火作戦」は当初、パゴスが再登場する予定で、地底怪獣で地割れから出現、科特隊のハヤタがウラン燃料をヘリコプターで運んで、パゴスを誘導していく脚本ができ上がっていた。

 しかし、パゴスはカラー作品としては地味な茶色系のモンスターで、すでにネロンガに改造されてしまっていた。どうせなら、パゴスに戻すのではなく、カラー作品にふさわしいカラーリングと新デザインの新しい怪獣にしようとして、成田亨デザイナーがまとめ、佐々木明が造形したのがガボラだった。

 少年たちのキャンプ場が台風の被害に遭い、食糧が足りなくなり、年長の小学校高学年の少年2人が小さい後輩のためにふもとへ出かけて、怪獣に遭遇する。少年を使うことで「怪獣と対決する平凡な人間の英知と勇気を描いてみたい」という野長瀬監督の『ウルトラQ』以来のテーマは、少年文学の香りを感じさせた。

 野長瀬監督は、いたずらっぽく笑って回想してくれた。
「この作品の撮影中、山梨の方で、台風か何かで道が陥没して崩れたというニュースがあって、〝ここで地底怪獣が出現する割れ目を撮ろう〟と言って、ロケバスにニュース取材と書いて、スタッフには土木作業員の黄色いヘルメットをかぶった格好させて撮影してたら、ドラマの撮影だと途中でバレちゃって〝何てことしてるんですか!〟と怒られたけど、本物だから作品の地割れとして締まった映像になったんだ(笑)」

2017年11月27日

第25回 子供たちが活躍するストーリー

 野長瀬三摩地監督は、『ウルトラQ』のペギラやガラモンといった人気怪獣に東京アタックを実行させたが、小学生の人気にびっくりした。黒澤明映画で映画ファンの存在は知っていたが、こんなに子供たちが喜ぶのかと、作り手として『ウルトラQ』の時より娯楽性を上げたい、と考えていた。

 「東京氷河期」で子供を使ってみると、一緒にいる役者たちの演技のモードが変わって、子供をもっと怪獣に絡ませるやり方もあるか、と考え始めた。

 ゲスラの出る制作第5話の「沿岸警備命令」は、話好きな老船員(柳谷寛)が子供たちにカカオの実が大好きなゲスラというトカゲの一種の話をして、ギャング団の悪人と好奇心いっぱいの子供たちが追いかけっこをしながら、そこへ巨大化した怪獣ゲスラが登場する。
 子供向けのジュブナイル小説のノリで、科特隊のおじさんたちが助けてくれる顚末である。

 横浜の港湾施設のビルをロケーション撮影し、そこにゲスラを合成。パトカーをウルトラマンが拾いあげて、子供たちを救出するドラマ+合成の映像がしゃれていて、ゲスラがピーターのぬいぐるみにデコレートした怪獣とは、まるで気がつかなかった。
 水中で戦うゲスラとウルトラマンの戦いも新鮮で、楽しむことができた一編だった。


2017年11月26日

第24回 合成を生かすロケ撮影のドラマ

 ドラマ班と特撮班を同じキャメラマンで撮影した制作第1~3話は成果をみせたが、スケジュールはその分遅れてしまい、残りの話数は『ウルトラQ』と同じ、2班体制のスタッフワークに『ウルトラマン』は戻っていった。
  
 人間側のドラマ班は内海正治キャメラマン、特撮班は高野宏一と佐川和夫の両キャメラマン、『ウルトラQ』と同じチームだ。野長瀬三摩地監督がウマのあう的場徹特技監督とチームを組む。京都で『大魔神』を造形していた高山良策は、まだ東京へ戻っていない。『ウルトラQ』の人気怪獣(残っているぬいぐるみスーツのことだ)の再登場でいくことになった。そこで野長瀬監督が南川竜のペンネームで書いたのが、ラゴンが巨大化した再登場編の制作第4話「大爆発五秒前」だった。

 『ウルトラマン』は、『ウルトラQ』でやらなかった技法に挑んだ。ロケーション撮影でドラマ班が撮影したホテルや建物、山林の実景に、マスク処理して怪獣を合成することで、ラゴンがホテルの上階に寝ている女の子の部屋をのぞく合成シーンは、『ウルトラQ』にない怪獣の巨大感とドラマにサスペンスをプラスして、TVを見ながら、東宝の怪獣映画で見なかった怪獣の視線を実感した。

 ラゴンの身体に水爆が付着しているため、攻撃できないスリル(脚本がウマイ!)、ウルトラマンが地球外へ持っていくラスト。子供がドラマの中で生きていて、小学6年生で見ていた私は大満足であった。


2017年11月25日

第23回 放送前の固い握手

 『ウルトラマン』のマスコミ発表の日、ビル街が建てられた東京美術センター(後の東宝ビルト)のステージにウルトラマンが登場。ところが、目の部分にまだ外をみる穴が開いていないため、スタッフが手をとって、撮影のポジションまでトボトボ歩いていく有り様だった。
 飯島敏宏監督は、その日のことを今でも思い出すと語る。
「番組のヒーローがよたよたと歩いてるんだから、大丈夫か、この番組……ディレクターならそう思うよ」

 栫井巍プロデューサーは、『ウルトラマン』の企画に「絶対、当たる!」と確信を持っていた。
「円谷プロで、金城哲夫たちが作ってくる設定、ストーリーが今までのTV番組にない新しさ、明るさがあって、カラー作品になることで、『ウルトラQ』とまったく違う面白さを出せると思った。子供に人気が出ないはずがない、と僕は思ってましたよ」

 「侵略者を撃て」と「科特隊出撃せよ」の2本立ての試写会が全国の何ヵ所かで企画されて、札幌の試写会には、飯島敏宏監督とシリーズ構成の金城哲夫が駆けつけた。
 1本上映、そして2本目が上映されると、会場の子供たちが主題歌を合唱して大喜びだ。スクリーン脇で会場の反応を見ていた飯島監督は、金城哲夫と暗闇の中で固い握手を交わした。『ウルトラマン』は、こうして僕らの前に現れたのだ。